この世はありとあらゆるものが美しい

今年は年初の新型コロナ感染症のパンデミックにより公私とも生活が一変した。

そんな中10月にかけて「鬼滅の刃」の映画宣伝を頻繁に見かけるようになった。
在宅ワークのBGVとしてYouTubeを見(聞)飽きてこともあって興味が沸き10月下旬にAmazon Primeで流してみたところ、第1話の初っ端からガッツリ引き込まれてしまい在宅ワークの方がBGW(Background Work)になってしまうという恐ろしい事態を引き起こしてしまった。

原作者である吾峠 呼世晴さんの持つ世界観、ufotableの作画と3DCGによる映像クオリティーの高さで見事に術中にはまってしまったのだ。特に19話「ヒノカミ」を見た直後は興奮が止まらずネットでググり神回であることを知り何度も繰り返し見てしまった。コロナ渦で映画館に行けず、無限列車編に乗り込むのは映画か漫画の戸惑いの中、続きをすぐにでも読みたい術からは抜け出せず12月初めに電子書籍で全巻を購入した。途中さらに「【画集】『鬼滅の刃』吾峠呼世晴画集 -幾星霜-」や冨岡義勇のフィギュアまで購入してしまうすさまじい術までくらったが、漫画の最終巻23巻の最終話205話「幾星霜を煌めく命」を先ほど読了し余韻にひたっているところだ。

「先人からの連綿と紡がれた流れや想いの上に今の自分がいるということ」、「この世に生まれ落ちることができた幸福を感じること」、「まっすぐに前を向き助け合うことで困難を乗り越え精一杯生き抜いていくこと」、「苦しいときこそ人に優しくできる心を持つこと」、そして「好きな人や大事な人を想い人生の儚さ故の幸せの深さを知ること」という言葉を大正という誰もがロマンを感じてしまう時代を舞台として登場人物の古式ゆかしい一風難解な台詞を通して「自分とは?自分らしさとは?そのためにはどう生きるべきなのか?」と現代の我々の心の中に問う、それも圧倒的な力で格調高く射し込む、そんな素晴らしい物語だった。

話中の切り取られたエピソード紹介、話の区切りに出てくる作者の「大正コソコソ話」の設定解説を読むと本当によく練られたストーリーであることがわかる。ならばもっともっと多くの話数を使って可視化できたのではないかと感じるところもある。外伝ではなく吾峠さんの本編で楽しみたい。納期に追われる連載も終わり、いずれ心落ち着かれたときに最も精度の高い増補版がでてくることを強く期待したい。早く映画も見たいし、またアニメ化の続きも強く期待したいと思う今日この頃。

 

メモ。

アニメも映画も3D CGはAutodesk 3ds Maxを使っているとのこと。

AUTODESK 世界を虜にしたアニメ『鬼滅の刃』はどう作られたのか ufotableにしかできない作画とCGの融合 前編
AUTODESK 世界を虜にしたアニメ『鬼滅の刃』はどう作られたのか ufotableにしかできない作画とCGの融合 後編

後編で「CGクリエイターを目指す人にアドバイスはありますか?」への寺尾さんの回答はその職業を選んだ人の矜持が感じられ素敵に思う。