AirTagを無音見守りGPSガジェット化

学校のクラブの遠征では携帯を持っていくことが(なぜか)許されていないため、いつ帰ってくるか全くわからず見守りGPSガジェットが必要になる。年間のある何日間だけ必要なのだが、通常の見守りGPSガジェットは月額費用がかかったりとコストや手続きの観点で導入が面倒である。

Appleが出したAirTagだが「見守りGPSガジェット」として使うには「8~24時間以内にランダムでサウンドが再生される」が課題となる。持ってて音が鳴ると先生に何か言われそうだよね。

ストーカーグッズとならないような対策の仕様としては大変理解できるが、利用できないのは残念すぎる。AirTagを子供や高齢者に持たせて見守り機器として使えるか的な記事を手始めに別の観点からも色々調べてみるとAirTagを改造することでこの課題をクリアできそうだったので壊さないよう作業しフィールドテストしてみた結果、AirTagは無事「人を探す無音見守りGPSガジェットAirTag(改)」に化けた。

無音化作業は案外簡単に対応できた。なおこの作業によってAirTagが本来持つIP67等級の防沫、耐水、防塵性能は失われるので、雨にあたるところに付けるのなら作業後のAirTagはパスケースなどに入れる必要がある。

参考までに色々調べるポイントとしてこのようなグローバル市場向けの商品は日本語で検索せず”airtag teardown”,”airtag repair”,”airtag silent”などのキーワードでYoutubeを探した方が情報量が多く質が良い。

■作業のポイント:AirTagを壊したくない

  • 蓋を壊さずに外したい:このYouTube(How to Drill a Keyring Hole in an AirTag!)だと万力で挟み込みAirTagを楕円に変形させ歪みにより生じた空き空間にピックを入れ蓋を外していたのでこれを採用。手持ちの昔ダイソーで電子工作のために購入したプラ製の万力を使った。万一のため保護めがねをしながらかなり締めて変形させた後、小さなマイナスドライバーを差し込んで開けた結果、蓋も割れず分離できた。全ての作業後接着剤など必要なく元のように蓋ができた。ドライバーを差し込んだ小さな傷が残ったが有音化に戻す作業のマーキング箇所として好都合かもしれないと前向きに考える。マイナスドライバーを差し込む位置は重要で、失敗すると周辺に配置されたICを壊してしまうため下の基盤が見えてる小さな穴を上にして時計で10時の位置あたりがポイント。詳しくは動画を参考に。
  • 配線を切りたくない:このYoutube(Howto remove the speaker coil from the Airtag (make your Airtag very silent!))だとコイル部分はそのままに、蓋側に付いている磁石を外すだけで無音化できていたのでこれを採用。(AirTagはコイルと磁石を使って本体を振動板として音を出している。)蓋を外すときにこの磁石も取れたため、蓋を開けてからの作業は基盤を眺める以外に特になかった。なおこの磁石を蓋側に再び接着することで有音化に戻すことが可能なので保存しておくことが大切である。蓋を閉めて電池をセットし「探す」アプリでサウンド再生し無音化されたことが確認できた。

■1時間程度のフィールドテスト結果

3人体制でフィールドテストを1時間ほど実施。

  1. AirTag所有者で「探す」アプリでAirTagの状況を確認するチェッカー(見守る人)
  2. AirTagをポケットに入れそのAirTagとは未接続iPhoneを携行するテスター(見守られる人)
  3. フィールドテスト同行者(AirTag未接続iPhone2台目を携行)(見守られる人の連れ)

結論から書くとテスターとチェッカーが分かれてから離れて20分ぐらいはチェッカーのiPhoneでは無反応だったが、その後は最後まで追跡可能だった。「紛失」モードは必要ないので未検証。

テスト後、テスターのiPhoneの「探す」アプリの「持ち物を探す」タブを見ると接続されていないAirTagがずっと一緒にいたけど確認したら?という趣旨のメッセージと一緒だった期間の行動ログがマップ表示された。フィールドテスト同行者のiPhoneの「探す」アプリには表示されなかったので、Bluetooth接続状態が長く続いたAirTag未接続iPhoneだとこのような表示が出るのだと思う。

リアル空間においては先生と一緒に遠征すると言ってもBluetoothが常に接続できる距離にはいないので問題ない。(が、逆にこの表示が出たとすると別の問題が出てくる。)林間学校などでとんでもない山奥へ行ってiPhone持ってるのが先生1人だけで盗難防止のためカバンは常に一カ所に集められるとかなると表示されるかもしれない。でもそれぐらいなら生徒が持ってきてるんだなとわかってよしなにしてくれるはずだ。

あと気づきとしてストーカー視点ではストーカーされる対象がiPhone利用者だとこのような通知で気づくことができるがAndroid携帯利用者だとわからない。Android携帯利用者はAirTagのアプリが出てきたらすぐにインストールすべきだと思う。

善意のiPhone利用者のネットワーク資源提供によって、AirTagという見守りGPSガジェットが安全安心に低コスト活用できる時代になったのか、凄いね。